
オレ、実は幽霊が見えるんだ。
なんて言うつもりは徹頭徹尾、毛頭なかった。当然だ。言ったが最後、額に手を当てられて発熱を疑われるか、鼻で笑われるか、いずれにしても真に受けられることはないのだから。ありえねー、と一笑に付す工藤の顔は優に想像できるが、それでもオレは悩んでいた。
この世には魔法もあれば幽霊だっているんだぜ。おっと、オレのマジックは勿論タネも仕掛けもあるからな……笑い話にしてくれるならまだマシだろうか。
さて、どうしてオレがこんなに悩む羽目になっているのか。答えは単純だ。どこぞの名探偵がドのつく霊媒体質でとんでもなく危なっかしくて見てられないからだ。
危険と言っても命に関わるものじゃない。広く捉えると同じ意味かもしれないが、人体の生命においては現実の人間の方がよっぽど脅威だ。
先の言葉を訂正するならば、工藤はとんでもなくエッチな目に遭いやすい、ドスケベ霊媒体質なのだ。
自分でも何を言っているんだと正気を疑いたくなるが生憎いたって正常で健全で健康なIQ400の脳は現実を見ろと訴えてくる。見えてるのは幽霊と不健全な名探偵だけれど。
そもそも幽霊なんて存在は、いわゆるエロという生命に近いものには近寄り難いはずなのだが工藤は特殊だった。
宝石と見紛うようなキラッキラとした──犯人を追い詰める時はギラッギラの──オーラとでも言おうか、本来ならば負の存在など触れることの叶わない光を纏った男は殺人現場などという負のオーラに満ち溢れた場所に頻出している。するとどうだろうか、その光にちょっかいを掛け始める不届者が現れ出したのだ。
間違っても工藤は極楽浄土の光なんかじゃない。生者も死者も呼び寄せる、さながら誘蛾灯だ。悲しきかなフラフラと誘われた蛾の如き幽霊どもは「誰があの光に触れられるか」という邪なチキンレースをおっ始めやがったのだ。
飛んで火に入るなんとやらに対し、工藤の光は何をとち狂ったのかエロという生命パワーで相殺していた。
その結果、工藤は頭痛だとか寒気なんていう霊障に悩まされない代わりに何故かエロイベントが頻発する、ドスケベ霊媒体質と化したのだ。
正直目の保養──ではなく、オレは怒りで一杯だった。そりゃ、まあ、ラッキースケベは吝かではない。
しかし、このままでは生命に支障がなくとも社会的にまずい。工藤もだが、うっかり巻き込まれた一般人が気の迷いで過ちを犯しかねない。
そしてオレは、曲がりなりにも好意というやつを抱いてしまった名探偵の貞操の危機を見過ごすことなんて出来なかったのだ。
だから、例え幽霊が見えるなんて与太話を告げずとも心に決めたのだ。
工藤に近づく不埒な輩を、全身全霊ぶっ殺す、と。
という幽霊絡みで頭の悪いドスケベ快新ネタの冒頭(仮)
勢いで書き出しただけなので情景描写もなければ会話文もない。
ほぼ説明文チックな独白。
これを上手い具合にこねくり回して形になったら良いのにな~~。
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